compact
「…今、どこにいるの…?」
優しく聞いたつもりだった。

「ごめん。
亜葵さんの家の前…。」

「いいよ。…今、開けるね。」

携帯を切って、ドアを開けると
毎朝コーヒーショップでの笑顔ではなく
龍くんは泣きそうな顔だった。

静かに部屋にあがってもらって
何もない冷蔵庫から水を出して
カップに入れて渡した。

その水をすぅっと飲み干して
「彼女とは別れてきた。」
と龍くんは言い、私にカップを
戻してきた。

カップをキッチンに置いたまま
「だめって言ったじゃん…。」
と言って、そっと龍くんを
見つめてしまった。
< 26 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop