姫を追放された私は一筋の光に救われた
ゼウスの一人が救急車を呼んでいて、ちょうどいいタイミングで来てくれた。

私は凪さんと乗りこむ。凪さんは私のほうが重症だと言っていたけど、今ではキズも塞がってるような気がした。


やられてきた私がしっかりとリベンジマッチを果たせた。これで後悔なく、ゼウスの姫としてこれからを過ごせる。その気持ちが嬉しくて、大怪我してることを忘れてるんだと思う。


あとで凪さんに怒られそう。Moonの今後は真麗奈と心が壊れた蓮に任せるしかない。


私がこれから先のMoonを知ることはきっとないだろう。関わりたくないというのが本音なのだが。


仲間に見捨てられた蓮。
今なら私の気持ち、少しはわかってくれた?

信じてきた仲間に追放されるのは嫌な気持ち程度じゃすまないんだよ。


「雪菜。テメーだけは許さねぇ!!絶対に許さねぇから!」


「……」


私たちは救急車の中から蓮を見ていた。サイレンよりも騒がしい蓮の声はいつまでも私の耳にこびりついた。
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