人の顔がすべて『∵』に見えるので、この子の父親は誰かがわかりません。英雄騎士様が「この子は俺の子だ」と訴えてくるのですが!
第二章:騎士団長の『∵』が戻ってきました
1.
カーティス・エドガー・ルルー・ベスティアは、ベスティア王国の第二王子であり、第二騎士団の団長を務めている騎士でもある。
銀鼠色の髪は太陽の光に当たると銀糸のようにきらめき、金糸雀色の瞳は長いまつげに囲まれている。すっと通った鼻筋も、色めく唇も、まさしく王子と呼ばれるのに相応しい見目である。だが、鋭すぎる眼光が、周囲の者を怯えさせていた。
カーティスが第二騎士団の団長となったのは今から四年前、二十二歳のときであった。昇格試験に見事合格し、団長の座を手に入れた。第二騎士団は、主に魔獣討伐を専門としている。他の騎士団よりも、命を危険にさらされる可能性は高い。それでもカーティスは、第二騎士団の所属を希望した。
というのも、三歳年上の第一王子であるアーロンとは王位継承権で争いたくなかったからだ。頭のきれるアーロンのほうが次期国王に相応しいと、カーティスは常々思っていた。
だが、賢すぎる王子は嫌われるらしい。
カーティスが十六歳の頃、どこからか第二王子を次期国王にという声が上がり始めた。はっきりいって、カーティスには迷惑な話である。
アーロンを王位につけ、自分は彼を守る騎士になって裏で操ってやろうと思っていたのに、ここにきてそのような話をされても困るというもの。
だが、他の重鎮にとっては、頭の回転が早いアーロンよりは少しのんびりしたカーティスのほうが扱いやすいと思ったのだろう。彼らは、何かとアーロンと争うようにと根回ししてきた。ようは、カーティスを傀儡の王としたいのだ。
それをアーロンに相談したこともあった。カーティスとしては、アーロンとの争いは望んでいないと、アーロン本人に伝えたこともある。
銀鼠色の髪は太陽の光に当たると銀糸のようにきらめき、金糸雀色の瞳は長いまつげに囲まれている。すっと通った鼻筋も、色めく唇も、まさしく王子と呼ばれるのに相応しい見目である。だが、鋭すぎる眼光が、周囲の者を怯えさせていた。
カーティスが第二騎士団の団長となったのは今から四年前、二十二歳のときであった。昇格試験に見事合格し、団長の座を手に入れた。第二騎士団は、主に魔獣討伐を専門としている。他の騎士団よりも、命を危険にさらされる可能性は高い。それでもカーティスは、第二騎士団の所属を希望した。
というのも、三歳年上の第一王子であるアーロンとは王位継承権で争いたくなかったからだ。頭のきれるアーロンのほうが次期国王に相応しいと、カーティスは常々思っていた。
だが、賢すぎる王子は嫌われるらしい。
カーティスが十六歳の頃、どこからか第二王子を次期国王にという声が上がり始めた。はっきりいって、カーティスには迷惑な話である。
アーロンを王位につけ、自分は彼を守る騎士になって裏で操ってやろうと思っていたのに、ここにきてそのような話をされても困るというもの。
だが、他の重鎮にとっては、頭の回転が早いアーロンよりは少しのんびりしたカーティスのほうが扱いやすいと思ったのだろう。彼らは、何かとアーロンと争うようにと根回ししてきた。ようは、カーティスを傀儡の王としたいのだ。
それをアーロンに相談したこともあった。カーティスとしては、アーロンとの争いは望んでいないと、アーロン本人に伝えたこともある。