人の顔がすべて『∵』に見えるので、この子の父親は誰かがわかりません。英雄騎士様が「この子は俺の子だ」と訴えてくるのですが!
終章
カーティスは歯を食いしばる。
これからルシアと会う約束をしているのに、何かがおかしい。
先ほどから身体が火照り、心臓がバクバクと大きく波打っていた。手足の先まで熱い血液がたぎっていくのが、はっきりとわかるほど。
(くそっ)
本当に口から心臓が飛び出そうだった。
カーティスは庭園の小路を急ぐ。
「ルシア……」
すっきりとした青空の下、東屋の白い丸屋根が映える。その東屋には、若草色のワンピースに身を包むルシアがいた。彼女はカイルの手をしっかりと握っている。
「カーティス……」
「カーティー」
カーティーと呼んだカイルの耳元で、ルシアは何かささやいたように見える。
「す、すまない……緊張のあまり……少し遅くなってしまった……」
「気にしないでください。私たちもその辺をいろいろと見て回っていたので」
鈍色の瞳はあの頃と変わっていない。
「ルシア……君には、ずっと感謝していた。君のおかげで俺は騎士団の昇格試験を受けることができて、第二騎士団の団長となった」
これからルシアと会う約束をしているのに、何かがおかしい。
先ほどから身体が火照り、心臓がバクバクと大きく波打っていた。手足の先まで熱い血液がたぎっていくのが、はっきりとわかるほど。
(くそっ)
本当に口から心臓が飛び出そうだった。
カーティスは庭園の小路を急ぐ。
「ルシア……」
すっきりとした青空の下、東屋の白い丸屋根が映える。その東屋には、若草色のワンピースに身を包むルシアがいた。彼女はカイルの手をしっかりと握っている。
「カーティス……」
「カーティー」
カーティーと呼んだカイルの耳元で、ルシアは何かささやいたように見える。
「す、すまない……緊張のあまり……少し遅くなってしまった……」
「気にしないでください。私たちもその辺をいろいろと見て回っていたので」
鈍色の瞳はあの頃と変わっていない。
「ルシア……君には、ずっと感謝していた。君のおかげで俺は騎士団の昇格試験を受けることができて、第二騎士団の団長となった」