人の顔がすべて『∵』に見えるので、この子の父親は誰かがわかりません。英雄騎士様が「この子は俺の子だ」と訴えてくるのですが!

3.

 カーティスは、魔薬の使い方をルーファに教えてもらった。第二騎士団の中でも、魔薬を扱える者はカーティスの他にはデレク、他三名。
「ルーファか……懐かしいな」
 アーロンはしみじみとそう言った。
「噂では、孫にメロメロらしいな」
 会わなくてもそう言った声は聞こえてくるようだ。
「孫? ルーファは結婚していたのですか?」
 ルーファに孫がいたなんて、カーティスも初耳である。いや、子ではなく孫だ。結婚していたかどうかわからないルーファが、子を通り越して孫だなんて、わけがわからない。
「ルーファには娘が一人いたはずだ。彼は今、その娘と孫と、三人で治癒院にいるはずだよ。落ち着いたら、会いに行けばいい」
「ん? 娘の旦那はいない?」
「あぁ。魔獣にやられて死んだとか、そんなことを誰かが言っていたなぁ」
 アーロンも聞いた話でしかないのだろう。
「そうか。だから、魔獣避けの薬にも協力してくれたのか……」
「かもしれんな」
 沈黙が生まれた。
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