愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 それから五年の月日が流れた。


 ベッドに横になっている雅のもとに、かわいい存在が寄り添っている。

直愛(なおよし)幸恵(ゆきえ)。ママは今、具合が悪いから、寝かせておいてあげよう。パパが遊んであげるから、こっちにおいで」

 清隆はそう言って、二人の子供を部屋の外に出し、清隆も雅の頭を軽く撫でてから部屋を出ていった。部屋に残された雅は心の中で清隆に『ありがとう』と述べた。


 今現在、雅と清隆の間には四歳の直愛と二歳の幸恵の二人の子供がいる。直愛は雅似の男の子、幸恵は清隆似の女の子と、二人の希望は見事に叶ったわけだが、今、雅のお腹の中には三人目の子供がいる。

 雅は三人目にして一番重いつわりに襲われており、休日は育児のほとんどを清隆に任せてしまっている。清隆は昔、育児は雅に任せるなんて言っていたはずなのに、蓋を開けてみれば、一人目のときから積極的に育児に関わっており、子供たちの相手もお手の物だ。

 平日には、雅の母が助けに来てくれていて、雅はどうにかこうにかこのつらい時期をやり過ごしている。

 母は清隆の計らいで、あの実家を出ることができ、今は雅たちの家の近くに一人で住んでいる。雅はようやく母とも何にも邪魔されない親子らしい時を過ごせるようになったのだ。
< 176 / 177 >

この作品をシェア

pagetop