愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
 夜になり、子供たちが夢の中へ入ってしまえば、ようやく夫婦の時間が訪れる。

「清隆さん、すみません。子供たちのこと任せきりになってしまって」
「こら。謝るんじゃない。君は今、私たちの大事な子供をその体で育てているんだ。君が今すべきことは安静に過ごすことだよ。君にしかできない仕事だからね」
「ありがとうございます。清隆さん」

 今の雅はほとんど周りのことに構う余裕がなくて、清隆にも随分とひどい姿を見せていると思うが、清隆はそんな雅をいつも労わってくれる。泣き言さえ、すべて受け止めてくれるから、つらいこの時期もなんとか耐えていられるのだ。

「はあ、こういうときに男はただ労わってやることしかできない。淋しいものだな」

 清隆が本当に淋しそうな表情をして言うものだから、雅は思わずくすりと笑う。

「ふふ。大丈夫ですよ。清隆さんの愛情は、私を通してこの子にもきっと伝わっています」
「そうか? では、もっと雅ごと愛してやらなければならないな」
「もうたくさん愛していただいています」
「いいや、まだまだだ。こんなものでは足りない。もっともっと愛させてくれ」

 清隆の愛情はとても大きく深いようだ。彼からの愛を感じない日なんて一日たりともない。

「清隆さんの愛で溺れてしまいそうです。でも、嬉しい。私ももっと愛したい」
「雅に愛される人生とは本当に贅沢だな。愛しているよ、雅。君も子供たちも心から愛している」


 それから加々美家は五人家族になった。とても賑やかで愛に溢れた家庭を築いている。

 もう今では二人の結婚が愛のない政略結婚だったことなんて思い出せない。真に愛し合う家族になったのだから。



~完~
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