愛なき政略結婚は愛のはじまりでした
「待て。このあとの予定は?」
一瞬言葉の意味が理解できなかった。雅に予定などあるはずもない。それをわざわざ訊くのだろうか。もしかしたら自分以外の誰かのことを訊いているのかもしれないとも考えるが、ここには雅と清隆の二人しかいない。清隆が清隆の予定を雅に訊くはずもないし、そうなるとやはり雅の予定を訊いているのだろうか。
雅は半信半疑でそれを確かめた。
「私のでしょうか?」
「それ以外ないだろう」
本当に雅の予定を訊きたかったらしい。存在するはずのない予定を訊く意図はよくわからないが、雅は淡々とそれに答えた。
「何もありません」
「そうか。では、今日は自室ではなく、寝室で待っていてくれ」
それを聞いて雅は息を飲んだ。寝室というのは各自の自室とは別に設けた二人用の寝室である。各自の自室にもベッドはあるから、ここに越して以来、二人ともずっと自室で休むのが当たり前で、その寝室には未だ足を踏み入れていない。そこで待てと明言するのは、きっと今日こそそれをするつもりでいるということだろう。
雅は初日のように恐怖心が湧いてくるが、それはおくびにも出さず、ただ「はい」と返して夫婦の寝室へと向かった。
一瞬言葉の意味が理解できなかった。雅に予定などあるはずもない。それをわざわざ訊くのだろうか。もしかしたら自分以外の誰かのことを訊いているのかもしれないとも考えるが、ここには雅と清隆の二人しかいない。清隆が清隆の予定を雅に訊くはずもないし、そうなるとやはり雅の予定を訊いているのだろうか。
雅は半信半疑でそれを確かめた。
「私のでしょうか?」
「それ以外ないだろう」
本当に雅の予定を訊きたかったらしい。存在するはずのない予定を訊く意図はよくわからないが、雅は淡々とそれに答えた。
「何もありません」
「そうか。では、今日は自室ではなく、寝室で待っていてくれ」
それを聞いて雅は息を飲んだ。寝室というのは各自の自室とは別に設けた二人用の寝室である。各自の自室にもベッドはあるから、ここに越して以来、二人ともずっと自室で休むのが当たり前で、その寝室には未だ足を踏み入れていない。そこで待てと明言するのは、きっと今日こそそれをするつもりでいるということだろう。
雅は初日のように恐怖心が湧いてくるが、それはおくびにも出さず、ただ「はい」と返して夫婦の寝室へと向かった。