一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 進級し2年になった成哉。ある日。成哉はクラスメイトと次の授業が行われる実験室へ移動している時の事。廊下を歩く1人の白いマスクをつけた女子生徒が突如その場でうずくまり動けなくなった。しかもはあはあと呼吸が苦しそうに乱れている。
 成哉は急いで彼女に声をかけた。黒い腰までの長さがあるロングヘアが彼女の顔を覆っているが、顔面蒼白なのが髪の隙間からちらりと見えた。

「大丈夫ですか? どうかしましたか?」
「あ……ちょっと、動悸がして……」
「保健室行きましょう。歩けないなら俺、おぶっていきますんで」

 女子生徒は控えめに遠慮したが、成哉が押し切る形で彼女は保健室へと成哉におぶられ連れていかれた。保健室に到着後彼女はベッドで寝かされ、そのままの状態で落ち着くまで様子を見る事になった。
 しばらくして彼女は落ち着いたのか、話せるまでにはなったので成哉と20代くらいの保健室の先生が彼女に聞き取りを行った。

「えっと、あなたのお名前は……」
「倉敷愛海です。3年です」
 
 倉敷愛海(くらしきまなみ)と名乗った女子生徒は3年。成哉の1学年先輩だった。聞き取りの結果彼女には持病がありしばらく入院して昨日復学したのだという。

「そしたら急に動悸がして……」

 心配そうにぽつぽつと語る愛海を、保健室の先生は彼女の背中をゆっくりとさすりながら耳を傾けていた。

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