一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
(どうすれば……)
「これ、いりますか?」

 産婦人科医から渡されたのは、1枚のエコー写真だった。記念に持って帰ってもよし、受け取らなくてもよしという態度に私は迷った挙句受け取る事に決めた。

「ありがとうございました」
「ここではお産は出来ないので、総合病院に紹介になると思います」

 総合病院という事は、あの職場という訳か。

「総合病院以外でもいいんですか?」
「はお。ご希望を言っていただければ」
「そうですか……」

 診察が終わり、会計も終わって私はクリニックを出た。

「はあーー……」

 これからどうして生きていこう。たった1回藤堂くんとしただけで、妊娠するなんて。

(言った方がいいよね……)

 でも、この事を言ってしまえば向こうに迷惑がかかるのは避けられない。それに、向こうの両親やうちの両親へも話が行くとなればどう反応されるかが怖くてたまらない。

「うちの成哉がそんな事するわけないでしょ!」
「お金狙いだろうどうせ」

 こう言われそうで怖いのだ。いやお金狙いとかそういう邪な事は決して何もないのだが、何故かそう言われそうでたまらないという不安感が私の身体を蛇のように締め付ける。

「どうしよ」

 どうしようという言葉だけが、無意味に頭から出る。
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