一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 速水先生は産婦人科の女医である。茶髪を1つにまとめて金縁の眼鏡をかけた美人の先生だ。ベリが丘にいる女性らしさを詰め込んだかのような女性に見える。

「これ、エコー写真ね」
「はい、速水先生ありがとうございます」
「堀田、見せて」
「どうぞ」
「わあ……」

 キラキラとした目でエコー写真を見つめる成哉の顔はもはや父親のそれだった。
 それに比べて私にはまだ母親になる覚悟なんてできていないのに。と対比してしまう。

「堀田さんてカフェの店員の子よね?」
「あっ、はい。そうです。カフェで働かさせて頂いてます」
「今後はどうするの? 産休育休とか……」
「それは……」

 すると成哉が大丈夫です。と力強く言い切る。

「俺がずっとついてますんで」
「そうなの? じゃあ、結婚?」
「俺としてはそのつもりです」

 成哉のその言葉には迷いは無かった。

(そんなに……)
「じゃあ、何かあったら頼ってね。堀田さん、今日は念の為ここで一晩入院する事になってるから、無理はしないようにね」
「分かりました。ありがとうございます」

 速水先生が退出し、部屋の中は成哉と私だけになる。それにしても個室のこの部屋は広くてトイレと洗面台にシャワーまで完備されているようだ。ベッドも大きくて角度をリモコンで変えられる。
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