一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
「もしもし、店長。お疲れ様です」
「堀田さんお疲れ。体調は大丈夫?」
「はい、今は落ち着いています」
「そうなんだ。でも今後はどうするの? だって藤堂先生と……」

 話は店長の耳にも通じていた。私はずきんと胸に痛みを覚える。

「その事はもう大丈夫です。あと、突然になりますが勤務形態を変えたいと思っています」
「という事は?」
「勤務先を変えたいんです。出来れば以前の勤務場所に戻りたいと言いますか。わがままになるのはわかっています」
「……とりあえず本部に伝えておくね。明日はどうする?」
「出勤します」
(休みばかりじゃ、皆に迷惑かけてしまうし)
「わかった。無理はしないでね」
「すみません。よろしくお願いします」

 店長との連絡を終えると、スマホの未読メッセージに一通り目を通す。やはり彼女達も私が成哉との子を宿している事を知っていた。
 誰がこの事を流したのだろうか。守秘義務とは一体。

「堀田さん藤堂先生とそんな仲だったの?」
「遊ばれたんじゃないの?」
(遊ぶような人じゃ、無いと思うけど)

 考え抜いた末まずは迷惑をかけてしまい申し訳ないと謝罪の言葉を送った。するとすぐに既読が付く。

「体調どうなの?」
「だいぶ落ち着いてはきた」
「ねえ、藤堂先生とはどうなの?」

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