一夜を共にしたかつての片思い相手は、優秀外科医だった。〜憧れの君と私の夢〜
 その質問にどう答えるべきか。悩みに悩みぬいてその事には触れないでほしいとメッセージを送った。

「何かあった?」
「捨てられた?」
「訳あり?」

 私の気分を知らないで、先輩や同僚は次々に容赦なくメッセージを送って来た。

「ごめんなさい。言いたくないです。詮索しないでほしいです」

 と、素直に自身の気持ちをメッセージで送った所、相手からは申し訳ないと言った謝罪のメッセージが次々と送られてくる。
 それにつけ足すように、何か困っている事があればすぐに頼ってほしいという内容の文言がちらほら送信されてきた。

(こういうの早いんだよなあ)

 彼女達とのやり取りはなんだかんだで夜遅くまで続いたのだった。
 次の日、改めて職場にて彼女達に謝罪する。思っていたよりかは温かく迎え入れられた気がするが、少しだけ私を気遣ったりちょっと引いたりするような温度差のある視線がばらばらに向けられ、私の身体が全体的に委縮してしまうような気がした。
 更に看護師や医師が店内近くまでやってきて、私を見ながら何やらひそひそと呟いている。どうせ私の悪口でも言っているんだろうと暗い考えに至りつつも、胸の中がなんだかむかむかしてきたので、我慢できずに彼女達に向かって歩き出す。

「何か店に御用ですか? 何かあるなら直接言ってもらわないと困ります」
「あっ、すみません」

 彼女らはそう言うとぱっと一目散に私に背を向け退散した。ちょっとだけ胸と胃の辺りがすかっとして楽になれた。
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