彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
◇◇◇◇◇

手術室の扉が開き、医療用ウェア(スクラブ)姿の俊佑さんが姿を見せた。

「成功しましたよ。永峰さんは循環器センターに移ってもらいました。24時間体制でモニターチェックを行います」

「先生、義父を助けてくださりありがとうございました」

俊佑さんはゆっくり首を横にふった。

「皆さんの初動が永峰さんの命を救ったんです。素晴らしい処置でした。蘇生させたAED操作も見事でした」

「主人には会えますか?」

「ガラス越しになら顔を見ていただくことはできます。今日はセンターから出ることは出来ませんので、皆さんも無理をなさらず休んでください。では、失礼します」

「本当にありがとうございました」

頭を下げる三人の表情には安堵の色が浮かんでいる。
俊佑さんは私と視線を交わすと、仕事に戻っていった。

昭二おじさんの様子を確認し、朝戸専務と私は会社に戻ってきた。お通夜のように静まり返っていた社内が、

「成功したよ」

専務の一言に、社員みんなが安堵の表情を浮かべていた。

そして、俊佑さんはこの日、病院に泊まり、帰宅したのは翌日早朝だった。
自宅に帰り着いた後も、私は昭二おじさんの容体が気になって、結局一睡もできないまま朝を迎えた。

ガチャッと玄関扉が開く音が聞こえ、玄関に向かって駆け出した。リビングのドアを開けると、俊介さんが目を瞬かせている。
私は思いっきり抱きついた。

< 141 / 151 >

この作品をシェア

pagetop