彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「そして、母の死を受け止めた私たちの人生は大きく方向転換していったの。それが顕著だったのが姉と俊佑だった。母のように救急に運ばれた人たちの命を救うために姉は救命医になり、母のような心臓疾患を抱えた人たちを救うために、俊佑は心臓血管外科医になった。そして私は、たくさんの人たちに笑顔を届けたくてイベントプランナーになったのよ。兄は、俺が高椿の母体は守るから、お前たちは信じる道を進め!ですって。矢吹さんがいてくれたから、母の死を乗り越えることができたし、強くなった。そして、私たちは今を生きている。そんな矢吹さんの娘さんが、今私の目の前にいるのよ。これを運命と言わずしてなんと言うの?」
沙織さんの聡明な瞳が私を見つめる。その瞳に思わず吸い込まれそうになった時、彼女がはっとした表情を見せた。
「大変!今何時⁉︎ 明日の打ち合わせも出来ないまま事務所に送り届けなければならないところだったわ」
それからの沙織さんは経営者の顔となり、私に明日の段取りを説明してくれた。そして、ドイツ社のエンブレムが輝く車で、事務所まで送り届けてくれたのだが、到着するまで、俊佑さんについて色々と教えてくれた。
顔も知らない俊佑さんだが、沙織さんのプレゼンによって、なんとなく身近に感じるようになっていた。
病を抱えた人を救うために医師になり、スキルを磨くためにアメリカに留学した。顔面偏差値は高くモデル並みの容姿。穏やかでとても優しい性格だという。もちろん、人を見下したり驕ることもない。
なのに、何故そんな素敵な男性に恋人がいないのか?
どうしても腑に落ちないでいると、それを察した沙織さんが、
「俊佑の恋人、いいえ、お嫁さんになるのは美音ちゃんだからに決まっているでしょう。今、この時、俊佑にも美音ちゃんにも恋人がいない現実こそがその証。美音ちゃん、もう素直に受け入れましょうよ、この運命を」
などと、またとんでもないことを言い出した。
だけど、私の心の中で、高椿俊佑という存在は確実に大きくなっている。それは紛れもない事実だ。
沙織さんの聡明な瞳が私を見つめる。その瞳に思わず吸い込まれそうになった時、彼女がはっとした表情を見せた。
「大変!今何時⁉︎ 明日の打ち合わせも出来ないまま事務所に送り届けなければならないところだったわ」
それからの沙織さんは経営者の顔となり、私に明日の段取りを説明してくれた。そして、ドイツ社のエンブレムが輝く車で、事務所まで送り届けてくれたのだが、到着するまで、俊佑さんについて色々と教えてくれた。
顔も知らない俊佑さんだが、沙織さんのプレゼンによって、なんとなく身近に感じるようになっていた。
病を抱えた人を救うために医師になり、スキルを磨くためにアメリカに留学した。顔面偏差値は高くモデル並みの容姿。穏やかでとても優しい性格だという。もちろん、人を見下したり驕ることもない。
なのに、何故そんな素敵な男性に恋人がいないのか?
どうしても腑に落ちないでいると、それを察した沙織さんが、
「俊佑の恋人、いいえ、お嫁さんになるのは美音ちゃんだからに決まっているでしょう。今、この時、俊佑にも美音ちゃんにも恋人がいない現実こそがその証。美音ちゃん、もう素直に受け入れましょうよ、この運命を」
などと、またとんでもないことを言い出した。
だけど、私の心の中で、高椿俊佑という存在は確実に大きくなっている。それは紛れもない事実だ。