彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
留学を終え帰国した俺は、病院長への報告のため、すぐさまベリが総合病院に向かった。
病院長は明日行われる高椿のパーティーに出席予定であり、俺が出席することも把握済みだ。
今日はもう帰宅し、身体を休めるようにと気を遣ってくれた。

帰宅する前に医局に顔を出すと、研修医だろうか、縫合の練習をしていた。邪魔をしないよう引き返そうとしたが気づかれてしまい、丁寧に挨拶をされた。縫合が苦手で、隙間時間を利用し練習しているそうだ。
なかなか上達せず落ち込んでいたようで、少しだけアドバイスさせてもらった。

「ありがとうございます!もう一回やってみます!」

「頑張れ」

苦手なことから逃げずに克服しようとするその気持ちがあれば必ず技術はついてくる。
彼のような研修医が入ってくれて、心臓血管外科の未来は明るい。

そろそろ帰るか。

「俊佑!」

医局を出て渡り廊下を歩いていると、背後から驚きを含んだ声が飛んできた。
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