彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
煌びやかで華やかな雰囲気の中、既にパーティーは賑わいを見せていた。
あちらこちらでシャンパングラスやワイングラスを手にした男女が歓談している。

私は、俊佑さんと腕を組んだまま奥へと進んだ。
俊佑さんは私を連れ、高椿会長と社長、そして専務のもとへ歩みを進めた。

「ちょっといいかな」

俊佑さんの呼びかけに、三人の視線が同時に向けられた。

「紹介しておくよ。俺が一生をかけて幸せにしたい女性、桃園美音さん」

「やはりそうだったか。沙織の様子からしてそうではなかろうかと思っていたよ」

穏やかに話す高椿会長に、社長も専務も柔和な表情で頷いている。

「美音さん、息子のこと、よろしく頼んだよ」

「少々嫉妬深いところもありますが、多めにみてやってください。弟のこと、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いいたします」

なんだろう。こうなる事がわかっていたような余裕ある言動。高椿グループのトップともなると、優れた先見の明を持ち合わせているのかもしれない。

挨拶を終え、私たちは踵を返した。

「俊佑さん」

「ん?」

「嫉妬深いんですか?」

彼が咳き込むように吹き出した。

「お兄様がおっしゃっていましたよね」

「そうだね、否定はしない」

「そう、ですか……」

「嫉妬深いのは嫌い?」

「わかりません。多分、嫉妬されたことがないので」

「美音は俺の心を掻き乱す天才だね」

「え?それはどういう」

「内緒。ほら、あそこ」

彼の視線が何かを捉え、頬を緩めた。
彼の視線を追うと、こちらに気付いた沙織さんが手招きをしている。

「え⁉︎」

沙織さんの横にいる人物に視線を移した瞬間、驚きのあまり思わず立ち止まってしまった。
< 87 / 151 >

この作品をシェア

pagetop