セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

16歳 〜気持ちはきちんと伝えよう〜


 書道の授業は好きだ。

 小さな頃から習っているため、書道自体がわりと得意であることに加え、今年度の先生の授業は、かなり緩いのだ。

 その日の課題について、本人が納得いくものが書ければ、それで良し。
 残りの時間は、好きな書を自由に書いて過ごしても良いし、早く終わらせて教室に戻っても良いことになっている。


 私は毎回、課題を仕上げるのがかなり早い。
 良いものができたと思ったら、それ以降はやる気がなくなるので、早めに道具を片付けて、教室に戻るようにしている。

 今日も私は早い時間に、会心の書を書き上げて、一番に教室に戻ってきた。
 これでゆっくりと、昼休みがとれる。

 ルンルン気分で席に向かうと、私の机の横の棚に、何かが置いてあった。

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