セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ～能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない～

１７歳 〜友達に隠し事はやめよう〜

　５月中旬。

　今日のホームルームは、修学旅行の打ち合わせだ。トルコでの自由行動の時間に、どこに行くかを、班ごとに話し合っている。


「２人で抜け出したりする予定？」

　軽く茶化すような優奈ちゃんの質問に対し、瞳ちゃんは恥ずかしそうに、「しないよ～」と答えていたけれど。鈴木くんは何も言わずに笑っていた。


――鈴木くんは、抜け出すつもりだな。


　まあ、カップルにとっては、修学旅行は重大イベントだし。少しは、２人になる時間を作ってあげたい。

　でも海外だからちょっと危ないかなあ、と考えていたところ。


――ん？


　和くんがキョトンとしているのに、私は気が付いた。

　さっきの会話の意味を理解していないようだけれど。もう別の話題に移っているので、皆は、気付いてない様子。