セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~

17歳 〜体育祭を楽しもう〜


 9月下旬。

 私たち3年生の大多数は、王明大学への内部進学が正式に決まり、クラスの中には何となく緩んだ空気が漂っている。

 月末の日曜日は、私たち3年生にとって、最後の体育祭。

 私は、例年どおり生徒会テントで待機し、来賓対応などの仕事を行うこととなった。


 日曜日当日。

 今日は、この時期にもかかわらず、かなり暖かい。動いていると汗をかくほどだ。
 私が来賓の人たちに、ペットボトル入りのお茶を配っていると、後ろから「百佳ちゃん」と声をかけられた。


――百佳ちゃん?


 声の主を振り返って、私は絶句した。嬉しそうな顔でそこに立っていたのは、以前にお見合いの話がきていた、あの変態議員!


――来賓として来たのか~~っ。


 これでは追い返すこともできないし、最悪である。

< 507 / 615 >

この作品をシェア

pagetop