セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜体育祭を楽しもう〜
9月下旬。
私たち3年生の大多数は、王明大学への内部進学が正式に決まり、クラスの中には何となく緩んだ空気が漂っている。
月末の日曜日は、私たち3年生にとって、最後の体育祭。
私は、例年どおり生徒会テントで待機し、来賓対応などの仕事を行うこととなった。
日曜日当日。
今日は、この時期にもかかわらず、かなり暖かい。動いていると汗をかくほどだ。
私が来賓の人たちに、ペットボトル入りのお茶を配っていると、後ろから「百佳ちゃん」と声をかけられた。
――百佳ちゃん?
声の主を振り返って、私は絶句した。嬉しそうな顔でそこに立っていたのは、以前にお見合いの話がきていた、あの変態議員!
――来賓として来たのか~~っ。
これでは追い返すこともできないし、最悪である。