セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
17歳 〜パーティーに参加しよう〜
――なんてことだ。
状況が読めないけれど、今のはたぶん、ヒロインを手で示す場面。女って聞こえた気がするから、佐々木くんのことではないだろう。
杵築は、白鴎さんの方だけを見据えているから、後方にいる愛花ちゃんと私の立ち位置を、はかり間違ったのだ。
よく見ろ、愛花ちゃんは、私のちょっと左だよ!
「あの、ちょっと間違……。」
「ふざけるな!!」
杵築の凡ミスを教えてあげようとする、私の言葉を遮って。
白鴎さんは、杵築を睨めつけた。
「親族の賛同が得られないのであれば、意味はない。まさか、一人で生きているつもりではあるまいな?」
「……!」
目の前にいる杵築の肩が、かすかに、震えたのが分かった。
ゲームの中だとすれば、いかにもクライマックスという風情のこの場面。しかし、せっかくのそれも、ヒロインを誤解されたままでは、ただのコントになってしまう。