セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
※※※※
お嬢様は1歳になり、離乳食を始めた。
見るからに不味そうな、野菜の離乳食を、お嬢様は嫌がることも残すこともなく、黙々と平らげていく。
あるときなんて、料理人が休みの日に私が適当に作った離乳食は、塩と砂糖を間違えていた。それなのに……。
お嬢様は、全く変わらない表情のまま、黙々と食べ、完食していたのだ。
さすがに、これに気付いたときは、背筋が寒くなった。
離乳食を始めた頃から、お嬢様が私をついて回る奇行は減っていった。
その代わり、お嬢様が、黙々と廊下を往復している様子を、度々見かけるようになった。
無表情のまま、軍隊のように無機質に、廊下を延々と往復し続ける幼な子。
何かの呪いですか――。
呪いといえば、最近。
開けたはずのお嬢様の部屋のカーテンが、知らないうちに、閉まっているのだ。
怖過ぎるので、もうカーテンには触らないことにした。
驚いたのは、先日、お嬢様がベビーベッドで昼寝をしていたときのこと。重めの掛布団が、お嬢様の顔を覆うように、上にかかっていたのだ。
焦って布団をはぐと、そこには能面のように目を閉じる乳児が!!
脳裏に『家政婦、子どもを窒息死させる』という新聞見出しがよぎった。
――お嬢様は、寝ていただけだった。
その日以来、お嬢様は昼寝をするとき、いつも、顔を覆うように布団を被り、下半身だけまるっと出して寝ている。
お嬢様の世話役は、基本的に私一人なので、ツッコみを入れようにも相手がいない。
お嬢様は1歳になり、離乳食を始めた。
見るからに不味そうな、野菜の離乳食を、お嬢様は嫌がることも残すこともなく、黙々と平らげていく。
あるときなんて、料理人が休みの日に私が適当に作った離乳食は、塩と砂糖を間違えていた。それなのに……。
お嬢様は、全く変わらない表情のまま、黙々と食べ、完食していたのだ。
さすがに、これに気付いたときは、背筋が寒くなった。
離乳食を始めた頃から、お嬢様が私をついて回る奇行は減っていった。
その代わり、お嬢様が、黙々と廊下を往復している様子を、度々見かけるようになった。
無表情のまま、軍隊のように無機質に、廊下を延々と往復し続ける幼な子。
何かの呪いですか――。
呪いといえば、最近。
開けたはずのお嬢様の部屋のカーテンが、知らないうちに、閉まっているのだ。
怖過ぎるので、もうカーテンには触らないことにした。
驚いたのは、先日、お嬢様がベビーベッドで昼寝をしていたときのこと。重めの掛布団が、お嬢様の顔を覆うように、上にかかっていたのだ。
焦って布団をはぐと、そこには能面のように目を閉じる乳児が!!
脳裏に『家政婦、子どもを窒息死させる』という新聞見出しがよぎった。
――お嬢様は、寝ていただけだった。
その日以来、お嬢様は昼寝をするとき、いつも、顔を覆うように布団を被り、下半身だけまるっと出して寝ている。
お嬢様の世話役は、基本的に私一人なので、ツッコみを入れようにも相手がいない。