セレブ御曹司の恋を遠巻きに傍観するはずだったのですが。 ~能面顔の悪役令嬢は、それでも勘違いに気付かない~
第四章 高等科1~2年編
新しい始まり
私は月乃愛花、15歳。
今日から、超名門のセレブ校――、王明学園高等科の一年生だ。
私は真新しいブレザーの制服を着て、自室の全身鏡の前に立つと、クルっと一回りしてみた。
――うん、最高に可愛い!
自分で言うのもなんだけど、私は、小さな頃から可愛かった。
お人形のようにクリクリしたパッチリ目、白くきれいな肌、小ぶりの鼻に、愛らしい口元。
街を歩いていてスカウトされたこともあるし、テレビに出ているアイドルと見比べても、正直、負ける気はしない。
さらに、自分で言うのもなんだけど、私は、小さな頃から賢かった。
学校の成績も一番だし、どのように振る舞えば皆に好かれて褒められるかも分かっていた。
だから人には親切にしているし、自慢話なんて絶対しない。
可愛くて、賢くて、性格も良い――。
私はまるで、物語に出てくるお姫様のようだけど、これまでの学校には、私と釣り合う人がいなかった。
それが何だかとても退屈で、「ここは私の居場所じゃない」という気がしてならなかった。