Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

そうそう、そう言えば課長のこと。

実は彼の異動は、パワハラが問題視されたせいだったらしく。
左遷とも言うべき異動だったせいで、奥さんが子どもを連れて実家に帰ってしまったんだって。

そこで、すべての元凶は『宮原がチクったせいだ』、と私を恨んでいたようだ。

私は一度も会社の人に相談した覚えはないし、ましてや上層部に訴えたとか、あるわけない。
ただともかく、課長の方はそう思い込んでいたみたいで。そんな時、私の結婚相手が相当なイケメンセレブらしい、という話を聞いたそうだ。

課長の耳に入れたのは、安藤妃奈。
汐留での女子会の後偶然会ったことは覚えてる。まさかその話をわざわざ元上司に聞かせるとは思わなかった。

課長は私への恨みを周囲にも漏らしてたっていうから、安藤さんもそれを知っていて、“教えてあげた”ってことなのかもしれない。親切(・・)のつもりで。

それから課長は、私だけ幸せにするものかとストーキングを開始した。
外出のたびに感じた視線は、やっぱり課長のものだったらしい。

結局、課長の奥様や義実家(奥様は元職場の専務令嬢)から真摯な謝罪を受けたこともあり、今後二度と私には関わらない、という誓約書を交わして、示談にした。

クロードさんからは「甘い、慰謝料くらい取ってやれ」「優秀な弁護士つけてやるぞ」とか散々勧められたんだけど……。
奥様や親戚からボロクソに叩かれた上、噂が広がって社内でも居場所を失った課長は憔悴しきっていて、これ以上追い打ちをかけることなんてできなかった。

それにね、今回の件があったから、クロードさんと過ごす時間が圧倒的に増えて、お互いの理解が深まった感じもするわけで。

だから、もういいかなって。

やっぱり甘い、かなぁ。

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