Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
さて、そんなこんなで足のケガもようやく完治した1月初旬。
冬晴れの澄んだ空気の中、約束通り私たちは1週間遅れでお正月の帰省をすることになった。
柊馬はテストが迫っているとかで、今回はパス。残念ではあるけど、2人きりでこんなに遠出するのは初めて。まるでデートみたいだ、ってちょっとわくわくしてるのも本当なんだよね。
「手土産はこれだけでよかったのか? 途中でどこかに寄ろうか」
「いえいえ、おばあちゃん一人暮らしですし、そんなにたくさんあっても困っちゃいますよ。モナカはおばあちゃんの大好物で、帰省の時は毎回持って行った思い出がありますし。きっと喜んでくれるはずです」
「なるほど、思い出のお菓子か。いいなそういうの」
おばあちゃんの家は隣県にあり、車で1時間弱ほど。以前の私だったら、彼とドライブなんて、1時間といえど緊張しまくってただろう。
ところがなんと今日は、のんびり外の景色を楽しんだり会話を弾ませたりする余裕まであったりして。
やっぱり2人きりで過ごしたリハビリ期間のおかげだな。
へにゃっと緩んだ頬をそっと押さえて、運転席へと視線を走らせる。
今日の彼は、薄手の黒ニットにグレーのテーラードジャケット、ベージュのチノパンを合わせて、フォーマル寄りの装い。
畏まらなくていいって言ったのに、「そういうわけにはいかない」らしい。
あぁ今日の旦那様も、とっても素敵。
手慣れた仕草で行うギアチェンジとセットにしたら、まるで映画のワンシーンのようじゃない。
「……何で笑ってるんだ?」
「いいえっ何も、うふふ」
「言いつつ笑うな」
視線は前へ据えたまま、呆れたように口元を緩めたクロードさんが手を伸ばしてきて、くしゃっと私の髪を乱す。
「ひゃあっちょ、止めてくださいっもー」