Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
――誰か、誰か助けて! お願い助けて!
目を閉じ耳を塞いで、小さくなって震えていただけ。
なんて馬鹿な臆病者だったんだろう。
もっとできることがあったのに!
「もしあの時、すぐに外へ出て、通行人でも近所の人でも誰でもいい、助けを求めていたら、そうしたら……っもし、かしたらお父さん、助けられた、かも……っ」
惨めなほどか細い声を振り絞って最後の言葉にたどり着いた瞬間、強い力で引き寄せられ、胸の中へと深く包み込まれた。
「っ……!」
「茉莉花はまだ小さかった。外へ逃げようとすれば、すぐに追いつかれて、君まで無事では済まなかった可能性もある」
降ってくる甘やかすような言葉に私は唇を歪め、激しく首を振る。
「おばあちゃんも、同じことを言いました。誰も、私を責めませんでした。お母さんも柊馬も。でも……っ」
いっそお前のせいだと、罵られた方がマシだった。
はれ物に触るように気を使われて。
怖かったね、って優しく慰められて。
そのたびに、無言で詰られてるような気がして。
自分を責めた。
私のせいだと。
私のせいで、お父さんは死んだんだと。
いっそ私が代わりに死ねばよかった――
「茉莉花、もういいっ」
言葉にならない私の思いをくみ取ったかのように、背中に回された手へ力がこもった。
胸の奥で長い間ずっととぐろを巻いていた何かが、急速にぐつぐつとこみ上げてくる。
まずい、と思った時には鼻の奥がツンとして、急速に視界がぼやけ始めた。
「私、私っ……すすみま、っ」
このままだと予想以上にみっともない所を見せてしまいそうで焦って離れようとしたのに、再び腕を引かれて、無理やり抱きすくめられてしまう。