Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「デザートはお連れ様をお待ちになりますか?」
「そうですね。もう少し待っててもらっていいですか?」

「はい、構いませんよ。戻られたらお呼びください」

すみませんとスタッフさんに謝って、閉まったままのドアを見つめる。

彼はなかなか戻ってこない。

大丈夫。
大丈夫。

何を心配しているの?
仕事の電話だってば。
自分の旦那様を信じなさい。

買ってもらったイヤリングを何度も触り、自分に言い聞かせる。
けれど結局胸の奥のざわめきはどうにも収まらず、気を紛らわせようとスマホを取り出した。

そうしたらなんと、未読のメッセージが何通も届いてるじゃないの。
え、何? ってアワアワ開いてみたら――


【ハッピーバースデー茉莉花ちゃん! 旦那様とデート中かな? お邪魔しましたー(笑)。今度香ちゃんも一緒に、3人でお祝いしよーね!】

【茉莉花、25歳の誕生日おめでとう! あたしは仕事中だよー(泣)。早くあたしも彼氏ほしー! 旦那さんだけじゃなく、あたしともまた遊んでね♪】

「知依ちゃん、香ちゃん……」

いつもと変わらない2人の元気なメッセージになんとなく救われたような心地がして、強張っていた頬が緩んだ。

【茉莉ちゃん、誕生日おめでとう。足がよくなったと聞いて、安心したよ。僕はようやく新しい職場に慣れてきたところ。そろそろ茉莉ちゃんの笑顔が恋しいよ。話したいこともあるし、今度会えないかな】

学くん、覚えててくれてたんだ私の誕生日。
忙しいだろうに、こんな風に忘れずに連絡くれるなんて、さすが王子。

スマホケースから栞を取り出して、ふふふと微笑む。
あの事件の後だって、ジャスミンの花を持って毎日お見舞いに来てくれたもんね。

今の職場でも、きっとモテモテなんだろうな。

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