Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

「えっ!? ええと、……」

相田莉穂子の方は確かまだ独身。でも社長が既婚者ということは……

「それってつまり……」

不倫?
口パクで言い、嫌悪の混じった視線を交わす私と知依ちゃん。

だってこんな場所に奥さん以外の女性を堂々と連れて来て、悪びれもせずに大笑いしてるなんて、信じられない。
セレブってやっぱり一般人とどこか感覚が違うのかな――とそこまで考えて、クロードさんもセレブなんだって思い出し、チクッと胸が痛んだ。



「うちの社長って、フレデリック総帥の甥っ子なのよ。弟の息子」

私が悶々とする間も、香ちゃんのレクチャーは続いた。

「順番的には次の総帥って可能性もあって。だからこその、あの態度よ。自分の上司ながら、うんざりしちゃう」

なんでも現在60代の会長さん(総帥)は独身、子どもはいないし兄弟はすでに亡くなっていて、後継者として年齢的に適している一番近い親族が李偉平社長(甥っ子)なのだという。

あれはもう、自分が次の王様だって確信してる顔だな。

相田莉穂子(愛人)の腰に手を回し、脂下がった顔で談笑する姿を見ているとそうとしか思えない。彼女の方も、それを見越して一緒にいるんだろう。

まぁ、トップに就任したからといって、成功できるとは限らない気もするけど……。

不倫、というワードから、必要以上に厳しい視線を向けてしまう私だった。


その後パーティーは始まったものの、会長さん(メインゲスト)の到着が遅れているとかで、会場内は緩い雰囲気のままフリートークタイムに。

私は知依ちゃんと交代してシャンパンをゲストへ届けるべく、グラスを乗せたお盆を持ってホール内を忙しく歩き回っていた。

< 153 / 402 >

この作品をシェア

pagetop