Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
一人で来いっていうんだから、誰にも相談できない。
そんなことをしたらおばあちゃんの命が危ないかもしれないもの。
スマホは使えないから、もしあそこにクロードさんが追跡アプリを入れていたとしても、助けに来てはくれない。
一人で全部やらなくちゃ……。
小刻みに戦慄く唇を無理やり引き結び、覚悟を決めてカバンの中を覗き込む。
課長にストーカーされた時の教訓で、私のカバンの中には防犯ブザーやトウガラシスプレー、タクティカルスティックなどの防犯グッズが常時入ってる。
これでどこまで対抗できるかわからないけど……やるしかない。
上手くいけば、お父さんを殺した犯人を捕まえることができるかもしれないじゃない。
ごめんね、クロードさん。
勝手なことして、ほんとにごめんなさい。
身体はまだ小さく震えていたものの、迷いはなかった。
――助けて、誰か。助けて!
――死にたくない。お願い、誰か……!!
クローゼットの中に逃げ込んで、ただ震えていたあの時と同じ過ちは、同じ後悔は、絶対に繰り返したくないもの。
私は、戦う。戦うんだ。
深呼吸して考える。
まず……どうやってここから抜け出すか、よね。
手早く計画をまとめると、私はスマホをソファへ放置したまま(持って行っても無駄だろう)、靴と靴下を脱いで素足になった。
コートを羽織り、そのベルト部分に靴をくくりつけ、ポケットにはお財布をねじ込む。
その上から、さらに男性用のバスローブに袖を通せば……うん、大丈夫。襟元だけしっかり押さえれば、服を着てるってバレないよね。
念には念を入れて備え付けのタブレット端末の電源も落としてから、廊下へと続くドアを開けた。