Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~

全身が麻痺したみたいに動かない。
呼吸することすら忘れて、ただスマホを穴が開くほど見つめる。

すると、突然画面が再び黒く塗りつぶされていき……やがてどこを触ってもうんともすんとも動かなくなってしまった。

きっとウイルスが仕込まれていたんだ。
このスマホは、もう使えない。

……どうしよう。

どうしよう。

たぶん、ほぼ間違いなく、これはXからのメッセージ。

なんで私に?
私の証言が、そんなに怖いんだろうか。

じっとりと汗に濡れた両手をきつく握り締めた。

相手は富田を殺したヤツだ。
おばあちゃんだって、躊躇なく手に掛けられるだろう。

滲んだ視界の中で拳を口に押し当てて、悲鳴を必死に押し殺した。

おばあちゃん。
おばあちゃん!

……行かなきゃ。
私が行かなきゃ。

おばあちゃんが殺されちゃう。

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