Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
俺たちの関係は、これでもう完全に終わった。
はずだった、のだが。
君ときたら、その後も勝手に俺が生まれた病院の看護師に会いに行くわ、リーズグループが赤ん坊を探していたらしいと突き止めるわ……。
探偵になるつもりなのか、と勘繰りたいくらい動き回り、報告を聞くたび俺は頭を抱えることになる。
――彼女、自分が囮になるつもりみたいですよ。
ついにはブルームーンへ主に柊馬の護衛のために入り込ませた部下――彼女たちがトミーと呼ぶバイトの青年だ――からそんなことを知らされ、思わず呻いた。
行動力は褒めたいが、今はとにかく大人しくしていてくれ。
頼むから。
香坂の上司である大東物流の社長の協力のもと、警察やインターポールと連携して一斉捜査のタイミングを図っていた俺は、仕方なく無理やり攫うようにして彼女をシェルリーズに閉じ込めた。
さぁ後は香坂を捕まえるだけ……と思ったのだが。
案の定というか、彼もまた、一筋縄ではいかない相手だった。
仲間を使ってダミーの罠をいくつも仕掛け、俺たちが手こずっている隙に姿を消した。
大混乱の中で更には君まで逃げたという報告を受け取った俺は、驚き、呆れ――ついには感動すらしてしまった。
やはり叶わない、君には。
さすが、あの先生の娘だ。
ならば俺も行こう、君のいる場所へ。
俺にはわかっていた。
茉莉花の行先に、香坂がいる。
香坂の行先に、茉莉花がいる。
不思議なほどの自信に導かれ、援軍を待てというユキの言葉を振り切ってたった一人、そこへと向かう。
最後の瞬間が、近づいていた。