Once in a Blue Moon ~ 冷酷暴君の不可解なる寵愛 ~
――ケホッゴホッ……
――息が苦しい。
――喉が、目が、痛くてたまらない。
呼吸ができないっ……!
――熱い、痛い、熱くて痛い。
――痛いよ、お父さん。
パニックになった私の視界に、一瞬15年前の光景がオーバーラップした、気がした……
「随分長くかかったな。まぁ、その分たっぷり楽しませてもらうが」
乱れた息を吐きつつ男が言い、その瞬間私は現実へと引き戻された。
忌々しそうな、でもどこか興奮したような口調。
その声を、口調を、私は知っている。
まさかという思いで、なんとか薄く目を開けた。
そこで私を見下ろしていたのは……薄汚れたトレーナー姿、ボサボサの髪にひげ面の男。随分変わってしまってわかりにくかったが間違いない。
前の職場の上司、高岡啓史だった。