人生のどん底から、絶頂へ。
次の日も、その次の日も、放課後、図書室で勉強。白翔先輩は私の勉強の進み具合を見ながら、iPadに応用問題を作ってくれた。
問題が難しい時には、レベルを下げてくれたり、分からないところは、分かるようになるまで丁寧に教えてくれたりした。

「よし、お疲れ様。今日はここで終わりね」
「はい。ありがとうございました!」
「今日の夜暇?英語のリスニングどんくらい出来るのか確認したい」

英語のリスニング。苦手だ。

「暇です。リスニングですか。。。」
「苦手?出来なくても全然大丈夫だよ」

白翔先輩は何故こんなに優しいんだろう。
でも、優しさに甘えすぎて勉強が疎かになったとき、大量に宿題を出された。
チャラそうに見えて、しっかりしてる白翔先輩。やっぱり好きだなぁ。


プルルルプルルル
スマホが震えている。
もう、白翔先輩との電話にも慣れてきた。

『もしもし、白翔先輩』

『結菜〜!今日の数学のテスト、今丸付けしたけど100点だったよ!! 偉いな〜!
今すぐにでも、よしよししてあげたい』

『ひゃく、てん、!? 本当ですか!? 』

100点。
もし、これが学校のテストだったら、両親は私のことを認めてくれるだろうか。

『うん!よく頑張ったな〜!』

嬉しかった。勉強する楽しさを、思い出せた気がして。

『じゃあ、リスニングテストするから、今日渡したプリント出して。ちなみにこれ、去年の中学二年生の模試の問題ね。
準備できた?始めるよー』

プリントを見ると、問題は全部で10問だった。
これなら、出来るかも。

スマホの向こうで、英語の音声が流れる。
最初は簡単な問題から始まって、だんだん難しくなっていった。

"がばめんと"(government)ってどういう意味だっけ。
うわ、この文章ってsつけるんだっけ。

もう、分からなくなって集中が切れてしまった。自分の頭の悪さに嫌気がさす。

『おっけー!終わり!お疲れ様。
明日、そのプリント持ってきてね』

『はい、わかりました。』

解答を見直すと、ため息が漏れた。
前半は自信を持って解答できていたけど、後半はほとんど勘で解答した。

こんなの、白翔先輩に見せられない。

『おーい?どーした?』

『あ、すみません。ちょっと疲れちゃって』

『今日勉強頑張ったもんな。偉かったな。
あー、聞きたかったことあるんだけど、いい?
・・最近放課後勉強してるじゃん?帰る時間大丈夫?ご家族に注意とかされてない?』

『両親は、最近仕事が忙しくて。今日くらいの時間なら、全然大丈夫です。』

『よかった。なんかあったらすぐ言ってね』

『はい、ありがとうございます』

だんだん瞼が重くなってくる。
そういえば、ここ2.3日、白翔先輩と寝落ち電話をしている。
夢みたい。好きな人と寝落ち電話なんて。
でも、学年一位をとって両親に認めてもらうまで、恋愛はしない。
自分の中で、そう決めている。
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