人生のどん底から、絶頂へ。
三日目の二時間目。数学。
チャイムが鳴り、みんな一斉に名前を書き始める。私は、緊張で手が震えてしまった。
白翔先輩のことを思い出して、深呼吸する。
すると、手の震えは治って、問題を解き始めることができた。

これ、教科書の100ページの3問目と解き方同じだ。
これはワークの最後の問題と全く同じ。
これも、これも、ワーク65ページの解き方と同じ。

数学に、暗記が役立った。
数学の問題がスラスラ解ける。この感覚が、嬉しかった。
残り時間15分で、最後の問題に辿り着いた。
最後の問題を見た瞬間、固まってしまった。
一度、解いたことのある問題だったからだ。白翔先輩が作ってくれた応用問題。
解けることが、嬉しかった。

全ての問題を解き終わり、白翔先輩に言われたことを思い出す。

『見直し絶対ね、寝ちゃダメだからね！』

つい、笑いそうになってしまった。
私は心の中で「はい」と、返事をして、見直しを始めた。
そして、10分後、チャイムが鳴った。

全てのテストが終わった。
開放感に包まれて、幸せだった。
でも、どこか寂しい気持ちもあった。
< 14 / 18 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop