人生のどん底から、絶頂へ。
帰りのホームルームで、先生から一枚の紙が配られた。


《二年生二学期中間テスト》
鈴木結菜  【1位】

国語   95点

数学   100点

英語   97点

理科   98点

社会   98点

音楽   97点

美術   99点

保体   96点

技家   98点


嬉しくて、その紙を抱きしめた。
学年一位。
白翔先輩に見せたい。そして、両親にも。

ホームルームが終わり、私は紙を握りしめ、走って三年生のフロアに向かった。
でも、三年生の教室には誰もいなかった。
三年生は帰ったのか。
私は必死で下駄箱に向かった。
下駄箱に行くと、白翔先輩は学校を出ようとしているところだった。

「白翔先輩!! 」

私は、靴を履き替えて白翔先輩のことを追いかけた。
「お!結菜!どーした?」
息が切れて喋ることができなかった。
「深呼吸、深呼吸。一緒に帰ろ」
私は呼吸を整えながら、白翔先輩と一緒に歩き出した。
「で、どーしたの?」

「あの!テスト、返ってきました。」

「おー!見せて見せて!」

土手を二人で歩きながら、握りしめていた紙を差し出した。
紙を見た白翔先輩は、その場に止まって私の頭を撫でてくれた。満面の笑みで。
「よく頑張ったな、結菜」

褒められたのが嬉しくて、安心感に包まれて、涙を流した。

「白翔先輩のおかげで、本当にありがとうございました。」

「結菜、俺のも見てほしい」

そう言われて、先輩から一枚の紙を受け取った。

"学年一位"

白翔先輩は、いつも学年一位なんだろうな。
流石だな。そう、思っていた。
紙を返そうとして、白翔先輩の方を見ると、涙を流していた。

「白翔先輩、、?大丈夫、ですか?」

「俺、学年一位なんかとったことなくて、人生で初めて一位とって、嬉しかった。
一緒に頑張ってくれて、ありがとう。
結菜がいなかったら、頑張れなかった。」

白翔先輩の言葉に、私も涙が止まらない。

「私も、白翔先輩がいてくれたから、頑張れました。白翔先輩がいなかったら、どん底にいるままでした。」

白翔先輩に抱きしめられる。
安心感に包まれた私は、つい、独り言をこぼしてしまった。

「白翔先輩、大好き。」

言ってしまった後、顔が赤くなる。
ハグしていた手を離して、白翔先輩が私に手を伸ばす。

「結菜、俺と付き合ってください。」

私は、白翔先輩の手を握った。
白翔先輩と、ずっとずっと一緒にいたい。

「結菜。大好き」

「白翔先輩、」

「まって、白翔って呼んでよ」

「白翔、大好き」

照れながらも、想いを伝えることができた。
いつも一番の味方になってくれた白翔先輩。
もし、あのとき白翔先輩に出会えていなかったら、人生のどん底から、這い上がることができなかった。

「白翔、今ね、私、人生で一番幸せ。」

どん底にいた私を助けてくれた恩人。
白翔に、出会えて世界一幸せだ。

「結菜、ご家族にテストの結果、みせないと。
俺も怖いけど、頑張るから。言いに行こう」

白翔の手をしっかり握って、家まで一緒に歩いた。不安で、怖かった。
でも、一人じゃない。味方がいるから、頑張ることができる。
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