三十路アイドルはじめます
24.俺もきらりと結婚したいと思ってる!(林太郎視点)
「15歳でそんなこと言うなんて、何かすごいね。中学生とかだよね⋯⋯」
明らかに、きらりの表情がひいている。
実際、送別パーティーではそのようなことを言ったかもしれない。
でも、本当は日本だと浮こぼれになってしまって苦しくて渡米しただけだ。
「当時、大学5年生だった僕も凄い子がいるなって思いました」
渋谷さんの発言に明らかに作為的なものを感じた。
このやり取りだけで、彼女に俺との年の差を再認識させ俺を遊び人認定させることができる。
「私はその時は大学2年生か⋯⋯」
きらりが、徐にヨガマットに乗っているクマのぬいぐるみを見た。
クマのぬいぐるみにはハイブランドのネックレスがかかっている。
明らかにこの部屋にある、どの家具よりも高いネックレスはおそらく貰い物だ。
「今日もクマさんは可愛いですね」
渋谷さんの言葉に俺は直感で、彼がクマにネックレスをかけてプレゼントしたと理解した。
(キザなやつ!)
「ねえ、きらり。このクマの腹わたとっても良い?」
俺はクマのぬいぐるみに盗聴器が仕掛けられていると踏んだ。
(渋谷さんは盗聴した音声を聞いて、この部屋に駆けつけたんだ!)
「え、ちょっとやめて! これは、元彼が初めてくれたプレゼントなの」
きらりが慌ててクマを自分の方に抱き寄せる。
その時、渋谷さんが俺にしか聞こえないように耳元で囁いてきた。
「ネックレスは君の予想通り、僕が彼女にあげたものですよ」
(こいつ! 俺の思惑に気がついてる!)
「きらり、とにかくクマは俺が燃やしといてやるから貸して」
盗聴器疑惑はなくなったが、14年も続いた元彼のプレゼントを持っているのは絶対に良くない。
「ぬいぐるみってなかなか捨てられないですよね」
ぬいぐるみを取り上げようとする俺の手を制して、渋谷さんが優しく彼女に語りかける。
彼は自分のあげたプレゼントを、元彼のプレゼントの首にかけられ嫌ではないのだろうか。
「はい、この子には罪はないですから。雄也さんのプレゼントもなかなかつけられなくてすみません」
「気にしないでください。このネックレスを見たら、僕のプロポーズを思い出してくれると嬉しいです」
俺は2人のやり取りに驚愕した。
渋谷さんは俺の前で彼氏ヅラをしていないと言うことは、2人はまだ付き合っていない。
それなのに、彼は彼女にプロポーズしたらしい。
そもそも、俺の中で付き合っていないのに手元に残るプレゼントを贈ると言う感覚がない。
「プロポーズって、付き合ってもないですよね。あの断っておきますけど、俺、きらりが好きなんです。渋谷さんに譲る気はありません」
色々と突っ込みたいところはあるが、俺はまず彼に宣誓布告をすることにした。
「僕もきらりさんが好きです。結婚したいと考えています」
「俺もきらりと結婚したいと思ってる!」
付き合ってもないのに、結婚したいなんて言って良いのか分からなかった。
でも、今、明確に俺にはきらりしかいないって思える。
こんな素敵で、波長も合う女の子はこれから現れないだろう。
「いや、そんなこと思ってないでしょ。林太郎は勢いで何を言ってるのよ」
彼女は俺のプロポーズを冗談だと受け取っているみたいだった。
「俺、本気だから。いつ、渋谷さんはきらりにプロポーズしたんですか?」
彼女は1ヶ月前に失恋したと言っていたばかりだ。
「実は、1ヶ月前、歌ってる彼女に一目惚れしたんです」
軽い感じで俺の質問に答えてくる渋谷さんに苛立つ。
きらりのような超美人は一目惚れなんて散々されてきたはずだ。
そして、一目惚れ程、勝手に幻滅される一方で信用できないと分かっているだろう。
(なぜなら、同じく超美しい俺がそうだからだ!)
「はあ、あんな姿見せてしまって恥ずかしいです⋯⋯」
きらりは何故か顔を赤くして、手で顔を仰いでいた。
「昨日のアイドル姿もすごく可愛かったです」
渋谷さんが重ねて彼女を照れさせている。
俺の中で彼女はかっこいいイメージだ。
しかし、彼のプレゼントのネックレスのセンスからも彼から見た彼女は可愛い印象のようだ。
(確かに照れてる姿は可愛いけど、何か面白くない)
「俺はきらりがアイドルやってるのは心配かな」
正直、母親が芸能界出身だから、あの業界が自己愛の塊のような連中の集まりだと分かっている。
明らかに、きらりの表情がひいている。
実際、送別パーティーではそのようなことを言ったかもしれない。
でも、本当は日本だと浮こぼれになってしまって苦しくて渡米しただけだ。
「当時、大学5年生だった僕も凄い子がいるなって思いました」
渋谷さんの発言に明らかに作為的なものを感じた。
このやり取りだけで、彼女に俺との年の差を再認識させ俺を遊び人認定させることができる。
「私はその時は大学2年生か⋯⋯」
きらりが、徐にヨガマットに乗っているクマのぬいぐるみを見た。
クマのぬいぐるみにはハイブランドのネックレスがかかっている。
明らかにこの部屋にある、どの家具よりも高いネックレスはおそらく貰い物だ。
「今日もクマさんは可愛いですね」
渋谷さんの言葉に俺は直感で、彼がクマにネックレスをかけてプレゼントしたと理解した。
(キザなやつ!)
「ねえ、きらり。このクマの腹わたとっても良い?」
俺はクマのぬいぐるみに盗聴器が仕掛けられていると踏んだ。
(渋谷さんは盗聴した音声を聞いて、この部屋に駆けつけたんだ!)
「え、ちょっとやめて! これは、元彼が初めてくれたプレゼントなの」
きらりが慌ててクマを自分の方に抱き寄せる。
その時、渋谷さんが俺にしか聞こえないように耳元で囁いてきた。
「ネックレスは君の予想通り、僕が彼女にあげたものですよ」
(こいつ! 俺の思惑に気がついてる!)
「きらり、とにかくクマは俺が燃やしといてやるから貸して」
盗聴器疑惑はなくなったが、14年も続いた元彼のプレゼントを持っているのは絶対に良くない。
「ぬいぐるみってなかなか捨てられないですよね」
ぬいぐるみを取り上げようとする俺の手を制して、渋谷さんが優しく彼女に語りかける。
彼は自分のあげたプレゼントを、元彼のプレゼントの首にかけられ嫌ではないのだろうか。
「はい、この子には罪はないですから。雄也さんのプレゼントもなかなかつけられなくてすみません」
「気にしないでください。このネックレスを見たら、僕のプロポーズを思い出してくれると嬉しいです」
俺は2人のやり取りに驚愕した。
渋谷さんは俺の前で彼氏ヅラをしていないと言うことは、2人はまだ付き合っていない。
それなのに、彼は彼女にプロポーズしたらしい。
そもそも、俺の中で付き合っていないのに手元に残るプレゼントを贈ると言う感覚がない。
「プロポーズって、付き合ってもないですよね。あの断っておきますけど、俺、きらりが好きなんです。渋谷さんに譲る気はありません」
色々と突っ込みたいところはあるが、俺はまず彼に宣誓布告をすることにした。
「僕もきらりさんが好きです。結婚したいと考えています」
「俺もきらりと結婚したいと思ってる!」
付き合ってもないのに、結婚したいなんて言って良いのか分からなかった。
でも、今、明確に俺にはきらりしかいないって思える。
こんな素敵で、波長も合う女の子はこれから現れないだろう。
「いや、そんなこと思ってないでしょ。林太郎は勢いで何を言ってるのよ」
彼女は俺のプロポーズを冗談だと受け取っているみたいだった。
「俺、本気だから。いつ、渋谷さんはきらりにプロポーズしたんですか?」
彼女は1ヶ月前に失恋したと言っていたばかりだ。
「実は、1ヶ月前、歌ってる彼女に一目惚れしたんです」
軽い感じで俺の質問に答えてくる渋谷さんに苛立つ。
きらりのような超美人は一目惚れなんて散々されてきたはずだ。
そして、一目惚れ程、勝手に幻滅される一方で信用できないと分かっているだろう。
(なぜなら、同じく超美しい俺がそうだからだ!)
「はあ、あんな姿見せてしまって恥ずかしいです⋯⋯」
きらりは何故か顔を赤くして、手で顔を仰いでいた。
「昨日のアイドル姿もすごく可愛かったです」
渋谷さんが重ねて彼女を照れさせている。
俺の中で彼女はかっこいいイメージだ。
しかし、彼のプレゼントのネックレスのセンスからも彼から見た彼女は可愛い印象のようだ。
(確かに照れてる姿は可愛いけど、何か面白くない)
「俺はきらりがアイドルやってるのは心配かな」
正直、母親が芸能界出身だから、あの業界が自己愛の塊のような連中の集まりだと分かっている。