学年1モテるクール男子は地味子ちゃんを助けたい。
これから先を、君と。
あの後。


非常階段での大騒ぎは先生たちの耳に入り、私以外のフィールドワークの班のメンバーは、全員こっぴどく叱られ、旅行中ずっと反省文を書くことになった。


私はというと、フィールドワーク中は大人しい子たちの班との同行が決定。


飛び入り参加でびっくりしただろうに、みんな嫌な顔一つせず私を歓迎してくれた。


「及川、フィールドワークどうだった?」


2日目の夜。


売店の前にいた氷高くんが、心配そうな顔で駆け寄って聞いてくる。

「とても楽しかったよ。みんな優しくて、新しい友達もできそう!」

「そっか。それは良かったな」


弾んだ声で答えると、氷高くんはホッとしたように胸をなでおろした。


かと思えば、大事な話をするように私に向き直って、


「あのさ。及川って、明日の自由行動はもう誰かと約束してる?」

「ううん、まだだよ。どうしたの?」

「もしよかったらさ、その時俺と一緒に行動しない? 及川がいいって言ってくれるなら嬉しいんだけど……」


なんだかはじめてのデートに誘われたみたい。


少しずつ自分の顔の温度が上がっていくのを感じながらも、自然と心から笑顔になってうなずいた。


「いいよ、一緒に行こう。氷高くんと一緒なら、きっとすごく楽しいと思うから」



【完】

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