迷宮階段
☆☆☆

 最初はとまどうことが多かったけれど、麻衣はいつでもにぎやかで、その輪の中にいることで私も同じ様に楽しい気持ちになっていた。

 元々ファッションには興味があったし、麻衣たちの知っている流行を聞くだけで勉強にもなった。
「今度の休みは買い物行こうよ!」

「いいね!」
 麻衣たちは週末になると少し遠出をしてもブランドもののお店がある街まででかけていくらしい。

 だから学校へ持ってきている小物や文房具も、この辺では見かけないものなのだと、やっと理解できた。そのくらい、麻衣たちの意識は高いんだ。

「中学出たら絶対この街から出るんだぁ。もっとおしゃれな街に暮らすの!」
 それが麻衣の夢だった。

 その夢に向かって確実に進んでいく麻衣の姿は眩しくて、今まで夢を持ったことのない私には尊敬するところも多かった。
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