月ノ蝶、赤縄を結ぶ



「───はい。若が15歳のときに他界されたそうです」



 15歳。

 それは紅くんが私の元を去った年齢だ。

 どうしてわざわざ私の誕生日の前日にいなくなったのか、ずっと分からなかった。

 その理由が紅くんの両親が亡くなったから、だったら?

 一体紅くんはどんな気持ちで私に「またね」って言ったんだろう。

 急に両親とも失って不安だったはずなのに、そんなことおくびにも出さずに、最後の瞬間まで私の王子様でいてくれた。



 当時を思い出し泣きそうになる私の耳に、ガラガラガラと玄関扉が開けられる音が入ってきた。



「っ紅くん!!」



 たまらなくなって走りだした。



「おかえり!!!」



 勢いよく抱きついた私を紅くんが受け止め、なだめるように頭を撫でてくれる。

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