断罪されて死に戻ったけど、私は絶対悪くない!

2.どう考えても、私は絶対悪くないもの

“俗っぽいフィクションだとバカにしていたけれど”

「確か小説では、心を入れ換えて違う人生を歩むのよね?」
「どうかされましたか?」

 エマが夢中になって話してくれた内容を必死に思い出す。
 詳しく聞きたいが、目の前のエマは『まだその小説には出会っていない』から何故悪女とされたヒロインがそのように行動を変化させたのかは聞けず、私は私で考えるしかなくて。

“普通に考えたら死にたくないから、だろうけれど……”

 これでも私は公爵令嬢なのだ、誰よりも気高くなくてはならない。
 そんな私が、身体的な終わりを迎えないためにプライドを捨てるなんてそんな真似は絶対に出来ない。

 それは社交界からの死を意味し、そしてその事実は私という全てを否定するものだから。

 
「……というか」

 ――そもそも、浮気した相手が悪いでしょう。

「婚約者がいながら他の女に現を抜かし、あまつさえ処刑ですって!?」
「び、ビクトリア様?」
「あり得ないわ、どう考えてもあり得ない! あの女だって、自身の身分を顧みず婚約者のいる殿方を体で篭絡したのよ。そもそも消されて当然でしょう!」
「び、ビクトリア様……!?」
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