籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
これが…そのブランケット。

サラサラとした手触りで、柔軟剤のいい匂いがふわっと香る。


そのおかげか、お兄ちゃんのベッドに寄りかかるような体勢だったけど、なんだかぐっすり眠れたような――。


眠れた…!?

…って、今…何時!?


わたしは飛び起きると、床頭台の置き時計に目をやった。

デジタルの数字は【8:03】と表示されていた。


……8時3分。


一瞬にして、頭の中が真っ白になってフリーズする。


本来なら、6時までに戻らなければならなかった。

それなのに、寝坊して2時間も過ぎてしまっているなんて…。


「…あのっ、兄は先生がおっしゃっていた山場を越えたということでしょうか?」

「ええ。今現在も血圧は安定していますし、もう大丈夫ですよ」


…よかった。

それだけ聞けて安心した。
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