籠の中の鳥 〜囚われの姫と副総長〜
「…そんなことないっ」


わたしは、握られた手首のやけどの痛みに耐えながらなんとか否定する。


「素直になればいいものを。じゃあ、なぜずっとオレのことを見つめていた?それは、お前がオレを欲していたからだろう?」


それはただの十座の勘違い。

わたしが見つめていたのは、そのすぐそばにいる玲なのに。


「お前も寂しかったんだな。それに気づいてやれなかったオレが悪かった。これからは、存分にかわいがってやるから安心しろ」

「…待っ――」


嫌な予感がしてわたしはそうつぶやいたけれど、その言葉の続きを遮るように十座がわたしの唇を奪った。


頭の中が真っ白になって――。

一瞬、なにが起こったのか理解できなかった。


しかし、すぐに気持ち悪さと嫌悪感とがこみ上げる。


「やっ…やめて!!」
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