悠久の絃 2
幸いにも明日は土曜日。学校が休みで良かった。

エレベーターに乗り、階で降りて、玄関の扉を開ける。



「ただいま」


「おかえり。遅かったね」



律先生だ。お風呂上がりのようでタオルを首に巻いている。

「ん?どした?お、わっ、」


気づけば律先生のお腹に顔を突っ込んで、涙が溢れてきていた。

あの時、公園でのあの会話からずっと緊張が解けず、今ようやく安心できる家に着いた。


律先生は何も言わずに受け止めてくれる。

そのせいか堰が切れたように涙が溢れ、声も漏れてしまった。



「絃ちゃん、?リビング入ろうか。ソファでゆっくりお話聞くよ。それにね、帰ってきたんだよ」


「うっ、ひくっ、、ぐす、、だれが?」


「そんなの聞かなくてもわかるんじゃない?ほら、行こう」



涙を拭ってもらい、しゃくりあげるのは治らないままリビングに入った。

ソファに座りテレビを観ていた人影は、こちらに振り向いた。


< 566 / 591 >

この作品をシェア

pagetop