悠久の絃 2
夏のはじまり
校門近くのロータリーに止まっている悠の車を見つけて乗り込んだ。
車内は悠が好きなアーティストの曲が流れていて、私の好きな匂いがする。
「おかえり。疲れた?」
「う〜ん、でもテスト終わったから、ちょっと疲れも飛んでったかな」
「そっかそっか。じゃあ今日の健診終わったら美味しいものでも食べいこう。」
「ああ、そっか、健診か……」
「嫌?だよね、笑」
「う…ん……」
「まぁ、行きたくて仕方ないっ!って人は少ないよね」
手馴れた動作でウインカーを出して曲がって、あとは真っ直ぐ行くだけで病院に着いちゃう。
行きたくないなぁ。
夜星先生、今日は怒らないといいな。
心臓の検査ってまたエコーかな。恥ずかしいから嫌なんだよね。
今日の喘息の検査に着いてきてくれるの夏くんかな、このちゃんかな。
採血あるのかな。痛いのやりたくないな。
はぁ、行きたくない。
「いと、口に出てるよ」
「え、?!あ、ごめんなさい、、」
「いいんだよ。僕だって、患者さんとして病院に行くのは嫌だもん」
ま、今はやる事やろうね、と車を降りて外来の受付へ。
いつもは診察室に入ってから会える悠が隣にいて、「怖いことないよ」と手を繋いでくれる。
本当は今すぐ逃げたい。車に戻りたい。家に帰りたい。
なのに悠が繋いでくれた手は簡単には振り切れなさそうで、胸がきゅぅと縮こまる。
「嫌なんだよね。よく頑張ってるよ」
隣にいる私にしか聞こえないくらいの声で、悠はそう言ってくれた。
悠の顔を見ると目を合わせていつものように微笑んでいる。
嫌なのに。逃げたいのに。
そんな顔で見られたら「嫌」なんて言えないよ。
「終わったら何食べようか」
「ハンバーグとか、サンドウィッチとか、パスタとか」
「いとが好きなハヤシライスは?お店の食べたことないもんね」
「んー、そういえば最近は麺だと素麺しか食べてないよね」
「終わるまでに考えといてよ。で、終わったら二人で食べ行こ?」
健診が終わったあとのご飯の話。
悠はいつもこうして気を紛らわしてくれる。だけど、今は食欲なんて到底湧いてこなくて……
車内は悠が好きなアーティストの曲が流れていて、私の好きな匂いがする。
「おかえり。疲れた?」
「う〜ん、でもテスト終わったから、ちょっと疲れも飛んでったかな」
「そっかそっか。じゃあ今日の健診終わったら美味しいものでも食べいこう。」
「ああ、そっか、健診か……」
「嫌?だよね、笑」
「う…ん……」
「まぁ、行きたくて仕方ないっ!って人は少ないよね」
手馴れた動作でウインカーを出して曲がって、あとは真っ直ぐ行くだけで病院に着いちゃう。
行きたくないなぁ。
夜星先生、今日は怒らないといいな。
心臓の検査ってまたエコーかな。恥ずかしいから嫌なんだよね。
今日の喘息の検査に着いてきてくれるの夏くんかな、このちゃんかな。
採血あるのかな。痛いのやりたくないな。
はぁ、行きたくない。
「いと、口に出てるよ」
「え、?!あ、ごめんなさい、、」
「いいんだよ。僕だって、患者さんとして病院に行くのは嫌だもん」
ま、今はやる事やろうね、と車を降りて外来の受付へ。
いつもは診察室に入ってから会える悠が隣にいて、「怖いことないよ」と手を繋いでくれる。
本当は今すぐ逃げたい。車に戻りたい。家に帰りたい。
なのに悠が繋いでくれた手は簡単には振り切れなさそうで、胸がきゅぅと縮こまる。
「嫌なんだよね。よく頑張ってるよ」
隣にいる私にしか聞こえないくらいの声で、悠はそう言ってくれた。
悠の顔を見ると目を合わせていつものように微笑んでいる。
嫌なのに。逃げたいのに。
そんな顔で見られたら「嫌」なんて言えないよ。
「終わったら何食べようか」
「ハンバーグとか、サンドウィッチとか、パスタとか」
「いとが好きなハヤシライスは?お店の食べたことないもんね」
「んー、そういえば最近は麺だと素麺しか食べてないよね」
「終わるまでに考えといてよ。で、終わったら二人で食べ行こ?」
健診が終わったあとのご飯の話。
悠はいつもこうして気を紛らわしてくれる。だけど、今は食欲なんて到底湧いてこなくて……