悠久の絃 2
「ちょっと肺に雑音混ざってるな。心臓は大丈夫そうです」

「わかった。心エコー見ていい?」

「はい。絃ちゃん、そこのベッドで横になろうか。」


ブラウスを脱いで下着を外して。
バスタオルをかけたとしても、抵抗は大きい。


「タオル捲るね。ちょっと冷たいよ」


律先生が握るプローブが露になった胸を滑る。
それはやっぱり、どうしても嫌で。嫌で嫌で仕方がない。

泣きたくなかったのに、溜まった涙は溢れてきて耳にかかる。

「絃ちゃん、痛い?」


律先生が聞くけど答えたくない。早くやめて欲しい。

「ごめんね。もう少し見させて」



やっと終わった……

「見た感じ大丈夫そうだね。あと心電図取って異常なかったら心臓の心配はしなくていいよ。」


「………絃ちゃん起きるのちょっと待って。お腹触るよ」



夜星先生が下腹部を触って、ときどきくっと力が入る。

「、、っ、」


「痛い?」


「、痛くないです、!」


「正直に教えて。痛い?」


「…ちょ、、ちょっとだけ」



そう言うと夜星先生は黙り込んで、律先生と二人でカルテを見つめていた。

やだ。嫌。だって、この前やったばっかじゃん、!



「……とりあえず今はなんとも言えないな。
採血しときましょうか。終わったらピークフロー行って、心電図、麻河先生のとこね。
佐々木さん、連れて行ってあげて」


「はい!絃ちゃん行こうね」



またお腹の治療をされるのかと思うと頭の中は真っ白。
どうやって脱いだブラウスを着たのか、どこで採血したのか、心電図にはどのくらい時間がかかったのか。まったく覚えていない。
あれ、ピークフローやったっけ?




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