悠久の絃 2
―トントントン

「はーい」


「入るよ〜」


「悠、どうしたの?」


「ん〜ちょっとだけお話しようと思って」



そう言うと悠はベッドに座って、私を呼ぶように横をポンポンとしている。

その場所に座ると、悠の手が私の手を握った。
その手は伸びて伸びて、ブラウスの袖を捲って、止まった。

「、待って、!見ないで」


「……痕、消えてないんだね…」


「ごめんなさい…」


「謝ることじゃないよ。頑張った証拠だよ。今日の採血は逃げなかったんでしょ?偉いじゃん」




偉いとか、偉くないとか、そういう問題じゃないの。

悠だってわかってるくせに。


「ねえ、もしもの話だよ」


「うん、?」


「もし、生理が来ないってなったら、家で治療するか、病院で治療するか、どっちがいい?」


「え、」




なに、その二択。



「家でやるなら、僕が処置する。メリットはまぁ、言わずもがな家ってところかな。そんなに怖いものは置いてないし、リラックスは出来ると思う。
病院なら、夜星先生や鶴川先生が処置する。病院だから喘息の発作が起きようがパニックになろうが、すぐに適切な処置ができる。

どっちがいい?」


そんなのヤダ。どっちも無理だよ。

悠が治療するなんて、その後絶対近づけなくなっちゃう。


「もしもの話だよ笑。そんなに気負わないで」


「だ、だって、悠のその話し方はもしもの話じゃない、!」


悠はハッとした顔で、目を閉じて、俯いた。
顔を上げたかと思えば微笑みながらゆっくり口を開いた。

「……そうかぁ。ごめんね、急に。この話はおしまい!
入院もテストも健診も頑張ったし、夏休みにまたどこかデートしようね。」


頭をぽんと撫でて、悠はリビングに戻ってしまった。







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