冷酷総長は、今日も変わらず彼女を溺愛する。【After Story】
なんの力もないあどけない子どもだった麗仁が皇帝に即位したことで、住民たちはしばらくの間(麗仁が成長し、実質的な権力を握るまで)は平和に過ごせると納得したのだろう──東ノ街はなんとか壊滅の危機から脱し、復興を遂げた。
その後は実質的に皇帝のいない平和な日々が続き、麗仁が高校生になった年、住民はまたざわつき始めた。
どうやら西ノ街の皇帝が残虐極まりないらしい。そしてその皇帝はまだ、高校生だと───
今まで自分の住む街の皇帝はまだ子どもだからと、根拠のない安心を抱き麗仁を侮っていた。その愚かさに気づいた時、住民の平穏は消え失せた。
𓆸 𓆸
「りとくんっ、こんなところで何してるんですか?」
「っうわ!」
眩い陽光を遮る、緑葉の生い茂った木の下で、幹に背を預け読書をしている時。
ふわりとそよ風が吹いたかと思えば、急に横からぴょこんと現れた彩夏に麗仁は目をまん丸くさせ飛び退いた。
「あははっ、おどろきすぎです!」
彩夏は天真爛漫に白い歯を見せて笑う。
「ばっ、急に大声出して現れんな!驚くに決まってるだろ」
おれは顔が熱くなるのを感じながら、そう声を張り上げる。心臓がどくどくと激しく鼓動する。