《短編集》愛しの旦那様は今日も私を溺愛する
 二人がお風呂から上がって寝る支度を終えると、今日は三人一緒に眠りたかった私は、「ねぇ神楽、今日はパパとママのベッドで一緒に寝よう?」と提案する。

 神楽の部屋にベッドがあり、普段神楽は一人で眠る日と私たちと一緒に眠る日があって、それは本人の気分次第で決まるのだけど、今日はどうしてもみんなで一緒に眠りたくて私の方からお願いをした。

「いいよ! オレも今日はいっしょがいいっておもったから!」

 すると、神楽も一緒に眠りたいと思ってくれていたようで、私たちは三人一緒のベッドで眠る事になった。

 私たちのベッドの真ん中に神楽、神楽の両隣に私と百瀬くんが横になる。

「えへへ、やっぱりみんないっしょだとうれしいね!」

 そもそも神楽が部屋で一人で眠るようになったのは周りのお友達がみんな部屋で一人で寝ているという話を聞いたから。

 だけど、男の子のお母さんたちに聞いてみると決してそんな事はなくて、みんな自分は人よりも大人なんだと見栄を張っているだけらしかった。

 それでも、神楽がそうしたいのならその意見を尊重しようとどうするかは委ねているけど、まだまだ一緒に寝たいお年頃のようで安心する。

「そうだね。神楽さえ良ければ毎日一緒に寝ても良いんだよ?」

 私的には毎日一緒に寝ても良いと思ってそれとなく言ってみると、

「オレもそうしたいけど、パパとママは仲よしだから、仲よしさんのじゃましちゃいけないってユウヤくんが言ってたから、まいにちはダメなんだよ」

 神楽は私や百瀬くんの邪魔にならないよう気を遣って一人で寝ている事が分かり、思わず百瀬くんと顔を見合わせてしまった。

「神楽の事を邪魔だなんてパパもママも思ってないぞ?」
「そうだよ」
「そっか! よかった! でも、一人でねるのはお兄ちゃんになるれんしゅうだからいいの!」

 きっと、神楽は神楽なりに大人になろうとしているのだろう。

 淋しいけど、ここは見守る方がいいだろうから、

「そっか。それじゃあこれからも、神楽が一緒に寝たいと思った日はみんなで寝ようね」

 決して邪魔なんて事は無い、いつでも一緒に寝れるんだよという事を改めて伝えてから、おやすみの意味を込めて神楽の頭を優しく撫でた。
< 35 / 42 >

この作品をシェア

pagetop