隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。

危ないお隣さん





「……は?」


 眩しい春の青空に覆われた校庭の隅。

 お山座りする幼なじみの美紗(みさ)ちゃんが、もともと涼しげな目をさらに冷たくして私を横見した。


「だからね、私、殺されたの! あの人に!」


 半袖ポニーテールの私の熱い訴えに、低体温の美紗ちゃんは引っ張った水色ジャージの上着の中に折り畳んだ膝を閉じ込めて怪訝そうに顔を歪めた。


「あの人って……あの人?」

「そう!あの人!」


 私はグラウンドの真ん中の方を指差した。

 そこにいるのは、〝彼〟。

 和やかにクラスの男子と談笑しながら50M走の測定を待つ酒々井(しすい)優成(ゆうせい)である。

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