隣の席の●し屋くんと、世界一尊い恋をする。
 私に言われるがまま酒々井優成を一瞥した美紗ちゃんは、私に視線を戻すと、死んだ目で一応口角をあげてくれながら「……うん?」と首を傾げた。

 美紗ちゃんの綺麗に切り揃えられたショートカットがさらりと揺れて、私はあまりのもどかしさに「んもぉ〜っ」と唸りながらグーにした手を上下にブンブンと振る。

 
 入学式翌日の二時間目、体育の時間。

 いまは美紗ちゃんと隣に並んで体力測定の一つ、立ち幅跳びの順番待ちをしている最中で、まったくわかってくれそうにない美紗ちゃんに私はもう一度イチから説明する。


「あのね、私の前世がね、お城のお姫様で、パーティーであんな男の子と目が合ったらコロッと落ちちゃうでしょ?それでついていったらパァン!だよ!ひどくない!?」

「うん、全然わかんない」

「美紗ちゃぁん!!」


 手詰まりになった私は美紗ちゃんに泣きつくしかできない。


< 24 / 251 >

この作品をシェア

pagetop